活動記録

Report

<課題研究>
「国際理解」特別講座(1)「グローバルな企業活動と私たちの日常生活」

International Understanding Special Lecture (1) "Global corporate activities and our everyday life"

講師 | Speaker

松岡秀紀(一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター特任研究員) Mr. Hideki Matsuoka (Specially appointed researcher for Asia-Pacific Human Rights Information Center)

日時 | Date & Time

2015年6月11日(木),2015年6月17日(水)

June 11, 2015 3rd, June 17, 2015

グローバルな企業活動と私たちの日常生活

グローバルな問題に取り組む第一歩として、松岡さんは、グローバルな問題と日本に住んでいる私たちの日常生活がどのように結びついているのかについて話されました。 As a first step to work on global issues, Mr. Matsuoka explained how global issues and everyday life of people living in Japan are linked.

具体例として取り上げられたのは、チョコレートとカップ麺でした。 The concrete examples he used were chocolate and cup noodle.

ダースという名前のチョコレートを食べたことがありますか?チョコレートの原料は何?カカオはどこで作られている?このパッケージの裏に書かれている「1チョコ for 1スマイル」というお知らせを読んだことがありますか?松岡さんの質問が続きます。 "Have you eaten chocolate DARS?" "What is chocolate made from?" "Do you know where cacaos are grown?" "Have you read the note on the back side of the package about 'one chocolate for one smile'? His questions continued.

質問の後、松岡さんはある事実を紹介しました。アフリカ、ガーナにあるカカオ農園では小さな子どもが働かされ、彼らは学校にも行けません。児童労働によってチョコレートが作られているのです。そして、この状況を改善するために、ACEという日本のNPOが現地の組織と協力して児童労働をなくす活動をしています。その活動を支援するためにこの菓子メーカーは、チョコレートの売上の一部を寄付しているということでした。 After the questions, he introduced a fact that many young children are made to work, and they cannot attend school in cacao plantation located in Ghana, Africa. He explained that chocolate is made by child labor, and in order to make this situation better, a Japanese NPO named Ace is working to eradicate child labor in cooperation with a local organization. To support their activity, the confectionery maker of DARS donates part of its chocolate sales.

もう一つの例はカップ麺に使われているパーム油でした。パーム油はパームヤシという植物の果実から作られます。パーム油はカップ麺だけでなく、コーヒーフレッシュ他様々な食品に、また洗剤など多くの製品に使われています。需要の伸びとともにパームヤシを栽培するために熱帯雨林の大規模な伐採が行われています。このため、以前から暮らしていた人々が土地を追われたり、地球温暖化を加速させることが懸念されたり、野生動物が棲家を奪われたりしています。 Another example is palm oil used in cup noodle. Palm oil is derived from the fruit of the oil palms. The use of palm oil is not only in cup noodles but also in coffee creamer and many other foods, and in many products such as detergent. With its growing demand, A large scale of deforestation has been occuring. Consequently, native people at a location of deforestation are forced to leave their homes, wild animals are losing their habitats, and fears of accelerate global warming are considered.

最後に松岡さんは、国連グローバル・コンパクト(UNGC)を紹介されました。UNGCは、こういった地球的な問題に関わる企業の行動を、企業が自発的にコントロールする枠組みとして2000年に設立されました。千里高校のスーパーグローバルハイスクールの取り組みは、国連グローバル・コンパクトがその原則を宣言している4分野-環境・人権・労働・腐敗防止-に焦点をあてています。 Finally, Mr. Matsuoka introduced United Nations Global Compact. This is a framework launched in 2000 to control global business on the basis of voluntarism of member companies. SENRI high school's Super Global High school project focuses on four areas in which UNGC states their principles: human rights, labour, the environmentand anti-corruption.

森永製菓「1チョコ for 1スマイル」のページへのリンク Link to "1 chocolate for 1 smile" http://www.morinaga.co.jp/1choco-1smile/

感想 | Thoughts

生徒の皆さんはこの講演をどんな風に思ったのでしょう?感想を日本語でご紹介します。 What did the students think about the lecture? Here are their thoughts in Japanese.

2015.6.11. 実施のクラス

  • チョコレートやカップラーメンも世界中とつながっていることがわかりました。私は海外と関わるような仕事に就きたいと思っているので、国際問題などをこれから少しずつ知っていきたいと思います。日本と世界のつながりがよくわかりました。
  • 私たちは義務教育を9年間いやでも受けることができることがとても幸せなことだと改めて気づくことができました。これからは幸せをただ自分だけで味わうのではなく、世界中の人々へ分けられるように、自分たちでできることは、1つずつでもしていきたいと思います。 将来は、貧しい子供たちにも 私たちと同じように学習や生活ができるように活動をしていき世界で協力していきたいと思います。
  • 私はチョコが好きで大好きでほぼ毎日食べていましたがガーナでカカオ豆を作ってくれている人たちのことを考えたことがありませんでした。 1枚のチョコで1円を送れるキャンペーンはすごくいいと思いました。チョコを買うときは、キャンペーン対象のチョコにしようと思います。児童労働は子供から学習の機会を奪ってしまうのでよくないことだと思いました。
  • 私は英語や他の国の文化を学ぶことが好きなので、 これからは国際問題にももっと興味を持ちたいなと思いました。 ニュースなどにも興味を持つなど、自分とあまり関わりがないことも学びたいと思います。
  • DARSの「1チョコ1スマイル」で1個につき1円だけで足りるのかなと思った。パーム油を作るために熱帯林を破壊するのは嫌だと思った。でもパーム油はとても便利でいろいろなことに使えると知ったので、どうするかとても悩みます。パーム油に代わる地球に優しいものができたらいいなと思いました。
  • 知らない言葉に多く触れたり、普段の生活の世界との関わりを少し深く考えたりすることができました。
  • 一番心に残ったのは、児童労働の問題についてです。私たちは勉強するのが当たり前だけれどそうでない子どもたちが多くいるという現実があるということがわかりました。
  • 将来企業に就職したり、世界で活躍したりすることがあったときには、自分の目の前のことだけではなくて、もっと多くの、見えない世界のことまで考え、行動したいと思います。
  • 自分が普段使っているものには遠い国の人々まで多くの人々がかかわっていることに驚きました。そしてそれを使っている私たちは豊かであるにもかかわらず、それを作るのに関わった遠い国の人々が貧しい生活していることに悲しくなりました。 今まではそんなことに関心がなかったけれど、これからは目を向けて積極的にその人たちを助ける活動に興味を持っていきたいです。
  • カカオ豆の原産地であるガーナの子供たちは働いていて学校に行けていない子供もいると思うのでDARSの1チョコ1スマイルのような運動をもっと広めていきたいです。 DARSを買おうと思います。今、世界では、熱帯雨林を破壊してまで、農場を作るなど大きな自然破壊が行われていることを知り、非常に残念に思いました。
  • 自分ひとりが努力をして変えられる問題ではないので、NPOとして活動することもしてみたいと思いました。自分が生活できるのは裏でたくさんの人々の活躍があるからこそだと思い、幸せに生きていけることに感謝して毎日過ごしたいです。
  • 1億6800万人もの多くの子供が児童労働に従事しているなんて知りませんでした。そうした子供達が私たちと同じように教育をけられるようにしている企業はすごいなと思いました。私も将来、そんなグローバルに活動する企業で働きたいです。

2015.6.17. 実施のクラス

  • パーム油の生産過程で現地の人々の大切な森林が壊されてアブラヤシが植えられていると知りました。誰かの生活のために、誰かの生活が犠牲になることはおかしんじゃないかと私は思いました。
  • ACEという団体は初めて知った。素晴らしい団体があるなと感じた。このように世界的な問題を世界的に解決する必要があると思う。
  • 企業もいろいろなことを考えてものを作っているんだと実感した。紹介された以外にも、どんな企業がそんな取り組みをしているのか気になる。
  • 自分の無力さを感じていましたが、大きな企業がアフリカの人々を助けるためにキャンペーンをしていることを知り、自分も将来そのようなことに関わっていけるようになりたいと思いました。NGOやNPOのような直接的な関わりは難しいけれど、間接的な関わりを持ちたいと思いました。
  • チョコだけではなく他のものにもその仕組みを活用できるのではないかと思った。
  • 企業がCSRをこれからどう感じ、どう動いていていくのか、NGOがどう動くかでアフリカの人々の生活も変わってくると思うので注目してニュースなどを見ておきたいです。また、自分もいつかはアフリカに行って現実を目にしたいです。
  • このように企業は社会に影響を及ぼしながら仕事をしているので、影響について責任を持つことが大切だと思う。そして僕たちもポイ捨てなど些細なことでも環境を悪化させているので注意する必要があると思う。
  • 1億6800万人以上もの子供達が労働を強いられているとは知りませんでした。私は将来そういう子供たちを救う活動をしたいと思います。どの企業でも公平な貿易ができたらカカオ生産者の生活も少しは楽になると思います。
  • 「バレンタイン一揆」は実際に見てみたいと思いました。また木をたくさん切り倒しているビデオは心が痛みました。「私たちの木を切り倒すことは都市の銀行をなくすことと同じ」というところが印象深かったです。
  • 現地の人々のすむところや食料源が失われていることはとても問題だと思いました。 チョコの原料をつくる子供達を加工されたチョコの売上金で支援するという発想が、画期的だと思ったし、チョコを買うだけで、その支援に協力することができる手軽さも良いと思う。
  • それを使ってチョコレートを作っている企業そしてそれを食べている私達にも責任があるということを考えさせられた。
  • 学校にも行けず小さな子どもたちが働いて作ったカカオ豆を使って作ったチョコを食べていると思うと、申し訳なくて、罪悪感が湧いてきました。そういう人たちのことを考えて、感謝したいと思いました。
  • NGOやNPOの活動のお話を伺い、このような団体の地道な活動の広がりが世界を動かす大きな力になると思った。
  • 児童労働や森林伐採には現状打破が必要だと思いますが、自分たちではどうにもなりません。企業の人々が新たな解決策を出してくれることにかけようと思います。
  • これらの事実を知ることが、地球の問題に取り組む一歩だと思う。大人になって、自分が問題に対してどのような行動を取るか考えることも大切だと思う。
  • 植物洗剤は環境にいいと聞いていたけれど調達先の環境にとっては「毒」だと知り、複雑な気持ちです。