活動記録

Report

<特別プログラム>
国際文化科1年SGH講演会

SGH lecture for the 1st year international-course students

2017年7月7日

June 7, 2017

国際文化科1年SGH講演会

大阪大学大学院国際公共政策研究科博士前期課程2年の猪口絢子さんを講師にお招きし、1年国際文化科SGH講演会『人々のストーリーを描く』を実施しました。ご自身の研究の内容、ルワンダでの取材の様子、国際問題の研究者の生活、高校生へのメッセージを語っていただきました。また、生徒の質問に答えて、ルワンダでの虐殺について説明をしていただきました。 Ms. Ayako Inokuchi from Osaka School of International Public Policy (OSIPP) gave a lecture to 1st-year students. The title was 'To describe people's stories.' She introduced the content of her study, her field works in Ruwanda and what the life of researchers on international affairs is like. At the end she gave her messages to the students. Also, she explained Rwanda genocide in response to a student's question.

1. 対象

国際文化科1年全員160名

2. 実施日時

2017年7月7日(テスト最終日の午後)昼食後13:10~14:20

3. 実施場所:

本校視聴覚室

4. 位置付け・ねらい

6月の「国際理解」ゲスト授業を受け、国際問題に取り組む若手の研究者から、研究の内容を紹介していただくと共に、研究の動機・高校生へのメッセージを伝えていただき、生徒の国際問題への認識・関心を高める。

5. 実施内容

①形態:

国際文化科1年生全員(160名)に対し講演と質疑応答

②講師:

猪口絢子さん(大阪大学国際公共政策研究科博士前期課程2年)

③指導上の工夫:

  • 事前指導
    • 6/27(火)に国際交流委員会を開き、「国際文化科の生徒達が、世界により興味を持つための大切な橋渡し役」であることを自覚させ、事前と当日に果たすべき仕事を説明 →生徒の参画、リーダーの育成
    • 6/29(木)LHRにて「アフリカクイズ」実施。(アフリカに対するイメージを国際交流委員が集計、講師へ伝える。) →レディネス・内容への反映
  • 生徒による司会:国際交流員が司会・進行・代表質問を行うようにした。
  • 導入ビデオの上映:紛争鉱物について紹介するビデオを講演の初めに上映した。

④講演内容の骨子:

  • アフリカ・コンゴにおける紛争鉱物への取組みに関する研究、イギリスの大学院での留学、研究生活(国際会議での交流や現地でのインタビュー調査など)について紹介。
  • 生徒へのメッセージ:国際社会が決めたルールが、当事者である現地の人々にとってどのような意味(=「ストーリー」)を持つのか、国連や「欧米・先進国」にとっての意味とどのようなズレがあるのか。研究者として、立場によるズレを常に意識し、当事者にとってのストーリーを描いていきたいとの思いを語って下さった。

「紛争鉱物」についてビデオで紹介

事前アンケートの結果を用いて導入

会場の様子

現地調査についてはたくさんの写真を使って
紹介していただきました。

住民を守るために作られた国際的なルールが実際の人々にはどう見えているのか。
彼らにとっていいものになっているのか。
住民を主人公にして考える。
これが「人々のストーリーを描く」ということ。

メモを取りながら聞いています。

「国際」と言いながら、先進国中心の一面的な見方になっていないか常に気をつけている、
と話されていました。

会場からも質問が続きました。

司会や代表質問をしてくれた国際交流委員のメンバー

6. 生徒の反応

質問1:世界の現状について知らなかったことで大切だと思うことはどんなことですか。

  1. “紛争鉱物”について深いところまで知らなかった。猪口さんの「遠い所だけど、かわいそうで終わらせたくない」という気持ちが大切だなと思いました。
  2. アフリカ大陸で虐殺があったことは知っていましたが、あんなに大量の人が殺されていたとは思いもしませんでした。
  3. 今、アフリカのことでいろいろ政策をたてられているけど、その政策はヨーロッパの人の考えが中心になってしまっていて、現地の人々たちの考えはなかなか反映されていないこと。

質問2:あなたが生きていく上で「勉強になった」と思うことはどんなことですか。

  1. 私も猪口さんと同じようなことに興味があるので、私も猪口さんのように一つのことを研究したいと思いました。
  2. 進路についてまた選択肢が増えた。
  3. 私は、「国際」科で勉強しながら、語学にしかほとんど焦点を合わせていませんでしたが、今回の講演を聞いて、もっと“グローバル”な眼をもって世界中の先進国も途上国も、良い所も悪い所もたくさん学びたいと思いました。
  4. 世界は、自分が思っている以上に残酷で平和じゃないのだと思いました。
  5. 今回紛争鉱物のお話を聞いて、自分の国では関係ないと思っていた問題も回りまわって関係していることが多いのだろうなと思い、世界で起こっている出来事に、より関心を持つことができるようになったと思います。
  6. ”国際“と言いつつ、視野が狭くなっている⇒ヨーロッパなどに観点をおいている。常に同じ人として、人という観点で物事、世界を見たいと思う。
  7. 自分に関係のないと思っていても、どこかで自分とつながっているかもしれないということを忘れないということ。多くの事に関心を持つようにしたいと思った。

質問3:覚えておきたいと思ったキーワードとその理由は?

  1. 「植民地構造は、まだなくなっていない」:自分は、ずっと平和で経済が良い国で生活をしているけど、世界の他のところでは、生活できない人もいるということが私は気になる。
  2. 「ルワンダ」:虐殺がおこって、それをしたのが普通の人だというのが怖いと思ったから。
  3. 「世界において」:世界といっているのに範囲が狭く、先進国だけや西洋だけの観点においてとして使われることが多くなっているとおっしゃっていたから。
  4. 「大阪大学法学部国際公共政策研究科」:将来は国連など、国際公務員として働きたいと思っているから。

7. 評価

① 次の指標への効果を「はい/とても」と認める生徒が半数を超えており、効果的であったと言える。国際=英語・欧米と考えていた生徒の意識の変化が生徒の言葉に表れており、これが指標A2への肯定的回答に繋がっていると考えられる。
  • A1「社会に貢献しようとする意識が高い。」
  • A2「国際的課題について理解が進み、複数の視点から検討できる。」
  • B1「高校入学時と比べて、グローバルな問題に対しての関心が高まりましたか?」
  • C31「将来留学したいと思っていますか?」
  • C32「将来国際的に活躍したいと思っていますか?」
② 運営を生徒主体にし、講演後にまず代表質問をすることで委員以外の生徒からの質問が活発に出された。例えば、講演の中では簡単にしか触れられなかったルワンダの虐殺についての解説が補足された。このように生徒の質問とそれに対する講師の説明が講演の内容と生徒の知識とのギャップをうまく補うことになり、生徒にとってのrelevancyが向上することになった。ルワンダの虐殺について「初めて詳しく知った」と書いている生徒は多かった。