<課題研究>
国際文化科2年「探究」
Project Research Tankyu for the second-year International-course students
2018年4月~2019年2月
April, 2018~February, 2019
本校では2年生全員が課題研究に取り組みます。1年での種々のゲスト授業・研修・『探究基礎』を受けて各自が研究課題を決めます。国際文化科では、今年度は人権・労働・環境・教育・グローバリゼーションの5テーマ11講座に分かれて研究を進めました。本校のSGHで最も中心的な教育/学習活動です。 All second-year students work on a one-year-long research. They decide their research topic based on the lectures, lessons, fieldworks and seminars they had in their first year. This year, the International-course students did their research in 11 classes under the following five topics: Human rights, Labor, Environment, Education and Globalization. This is the core teaching/learning activity of our SGH project.
1.1年間の学習・指導の流れ
- 開講当初はプレゼンテーションの技術や論文の基本事項の学習(標準的な構成や論拠を示して主張を述べる等を高校生が書いた例を使って確認する)、剽窃に関する学習を行いました。
- その後、各2回の講座内発表会(9月・12~1月)・合同発表会(10月・2月)・大学院生による個別論文指導(10月・1月)を節目にして論文やプレゼンテーションを提出/発表し、教員や他の講座生徒からコメントをもらい、ステップアップ/洗練させていきました。
- 2月には全研究を校内学習成果発表会「千里フェスタ」で発表し、7000字(2人の共同研究の場合)の論文にまとめて提出しました。
2.課外の研修・発表
- 8月:希望者を募り、大阪大学国際公共政策研究科主催の研究合宿に9名を派遣しました。
- 10月:企業訪問研修の機会を設け、実際の企業における取組を研究に採り入れられるようにしました。
- 12月:希望者を募り、SGH全国高校生フォーラムでの英語によるポスター発表に派遣しました。
- 3月:希望者を募り、関西学院大学で開催されるSGH甲子園で英語によるポスター発表を行いました。
3.指導上大切にしていること
- 生徒の自発性をベースに,1年次より難易度の高いテーマを設定することにより,生徒のモチベーションを高め,限られた時間内で質の高い調査研究を行うよう指導する。
- 課題解決型研究とするため、最終的には不完全でも何らかの解決案を示すよう求める。
- 2人での研究を促し、役割分担・討議を行い協働で研究を進める経験をさせる。
- 情報の出所の明示を徹底して求め、また、書籍・論文にあたることを促すことで、確かな情報に基づく、現実的な提案ができるようにする。
- 論理の飛躍・原因と結果の整合性の不備を指摘し/自己点検させ、また、仮説と検証を求めることで、説得力のある結論を導くことができるようにする。
- 論文提出と口頭発表、それに対する評価を複数回行うことで、レポートの形式を学び、説得力のあるプレゼンテーションができるようにする。
4.学習の様子
(左) 課題設定の適切さについて相互に意見交換しています。
(右) 初期の段階、ドキュメンタリー映画を見た後、グループに分かれ、メモを元に自分が問題だと感じた部分を書き出し関連を考えた講座もあります。これらの活動を通じて自分の問題意識を明確にし、また、共同研究の仲間を見つけていきました。
(左) ペアで研究を進めている様子です。調査を分担して行ったり、発表ではスライドと原稿を分業したり、原因や解決案についてアイデアを出し合ったりしています。指導教員から出されたダメ出しも、アイデアをブレインストーミングしながら落ち込むことなく対応していました。
(右) あらかじめ送っておいた論文について大学院生からアドバイスを受けている様子です。指導教員とはまた違う角度から良い点や直すべき点を指摘されます。この指導を、生徒は高く評価しています。
(左) 10月の中間発表会では、講座の代表11組が発表をし、全員が聞き参考にします。
(右) 10月・2月の代表発表に対しては民間企業でCSRを担当しておられる方と外国人の人権・教育に取り組んでおられる大学の先生から、各研究の意義と助言をお話いただきました。他の生徒や指導教員にもとても参考になりました。
5.『探究』の学び | 生徒の「振り返り」から
伸びたと思う力とこれから伸ばしたい力を尋ねました。
- 自分は最初インターネットの全ての情報を信じきっていて、「自分で考察する」という探究において最も大事な所を忘れていました。しかし、本などから多くの人の意見、考察を取り入れることで、より完成度の高い研究が行えました。
- 自分で相手が見えやすいパワーポイントを作るための工夫を見つけることができた。文章の要約をうまくすることができた。日本語をもっとうまくなりたい。
- 自分達がたてた問題にどのような方向からアプローチをしたら解決案やヒントを得られるのかということを常に考えながら調べていたのでゴールへのプロセスを立てる能力は身についたと思います。
- 何をどんな風に調べればよいのかや、パワーポイントの使い方などをたくさん学ぶことができたと思う。最初の方はうまく進んでいない部分もあったが、空いている時間利用して完成することができた。より上手に表現する力を更に伸ばしたいと思います。
- 正直、この活動はなかなか難しいと自分は感じた。だが、この経験を通し、“何の情報を加えれば自分たちの資料はよくなるだろう”等のさまざまな面で向上したととても感じる。
- 調べたことをもとに自分の考えを組み立てる力がついた。でも、根拠立てがもっとしっかりできるようになりたい。
- こんなに一つのことを深く調べて考えたことがなかったので、多くの角度から物事を見ることの大切さを学ぶことができた。
- 普段考えたこともないことを調べられた。パワーポイントやワードを用いてコンピューターの技術を駆使できる力が少しついた。今後は更に物事を論理的に考え自分の意見をしっかり持ち相手に伝えていく力を伸ばしたいと思う。
- 中間発表の経験から本番に向けてどの点が良くてどの点を改善するべきかが分かり、発表で自分の言葉で話すスキルや物事を多角的に見る考え方を学びました。今後は論文で言いたいことを端的に伝えられる言葉がスッと見つかるように言葉をたくさん知りたいです。論文の添削などたくさんお世話になりました。
- 2年生での探究を通して私が最も伸ばすことができたと考える力は「情報を見分ける力」です。インターネットや書籍でこのテーマについて調べることが多かったが、本当にこれらに書かれている情報が正しいのかについてよく考えた。これから大学生になるとこのような論文を書いたりする機会が増えると思うので、もっと力をのばしたい。
- 一つのことについて探究する力がついたと思う。そしてこれからそのことについてまとめる力を伸ばしていきたいと思う。今回の探究をしている中で、自分のまとめる力が足りていないことが分かった。同じチームの人に助けてもらいなんとか完成できた。これからもまとめる力を身につけていけるようにパソコンを使っていきたい。
- プレゼンをするときにもっと聞く人を見ながら話す力をつけたい。
- 論文の書き方を教わりました。伸ばしたい力は、日本語のボキャブラリーを増やして、論文をもっと大人っぽく書けるようにしたいです。
- 単純な疑問でも、背景や原因を調べるとさまざまな事が複雑にからみ合っていて、解決策を考えるには時間と労力をとても使うことが分かりました。また、ある情報が信頼できるのかどうか判断する力、パワーポイントを分かりやすく作る力、研究をきちんと道筋たてて説明する力がつきました。また、ペアとの協働作業はお互いを高めあうことができてとてもよかったと思います。
- 3人で協働だったので分担などが大変だったけれど、協働だったからこそ探究が最後までできたので協働でよかったなと思います。
- 論理的に、また納得させる為に文を構成することに難しさを感じました。また相手にわかりやすく伝えるパワーポイントをどう作るかがとても悩みました。今後は論理的に文を書くことをもっとがんばりたいです。協働は2人までにしたほうがやりやすいかもしれないと思いました。
- 調べた事をコンパクトにまとめる力をもっと伸ばしたいと思った。書き出して羅列するだけではまとめたと言えないので、必要な事だけを見抜く力を身につけたいと思う。
- そもそも発表日までに完成でもっていけなかったので、役割分担不足だと思った。
- 協同作業は話し合いが本当に大事だと感じた。
6.今年度の「探究」講座別研究タイトル一覧
1. 講座・人権(2講座)
- なぜ『屠殺(とさつ)』は私たちに身近なものではないのか
- シングルマザーと児童虐待の関係は
- どうすれば児童虐待を減少できるか
- 貧困世帯にいる子どもと普通の子どもの成績の差をなくすためにはどうしたらよいか
- 長時間労働をなくすためにすべきことは
- 元受刑者が社会復帰するためには2-1鈴木陽太
- 母親が子どもを愛することは“当たり前なのか”
- 出産後も女性が働き続けるためには
- 日本において安楽死は合法化されるべきか
- マタニティハラスメントを解消するためには
- 少年法は“甘やかし法”であるのか
- 貧困による子ども虐待をなくすためには
- 性暴力における男性被害者を救うためには
- 『ちびくろサンボ』絶版から考える黒人差別を解決するためには
- 過労による自殺をなくすためには
- 最期の在り方を選択できるようになるには
- 子どもの幸せを守るためには
- 障害者雇用促進法は問題のない障がい者雇用対策か
- 見た目問題
- ひきこもりを社会復帰させるには
- 女性が働きやすい社会を作るには
- 在日韓国・朝鮮人への差別をなくすには
- 報道被害をなくすには
- 長時間労働の悪循環
- 千里生が『働くこと』に対して積極的な見方を持つためにはどうすればよいのか
- 成果主義とは
- パートタイム労働者に課せられる処遇問題と対応とは
- スウェーデンと日本の育メン
- 障がい者雇用~安心して仕事ができるために~
- 過労死とその対策
- ブラック企業
- なぜ現代日本の女性は仕事と育児の両立が難しいのか
- 日本が労働先進国のような働きやすい国になるには
- 女性活躍後進国
- ブラックバイトによる学生の被害を減らすには
- AIの利用によりおきている問題、見えない未来の労働環境
- インドにおける児童労働
- 雇用形態と幸福の関係とは
- 最近の若者は本当にいけないのか
- 労働にとっての睡眠の重要性
- 中間管理職と心の健康
- 宝くじで一生暮らせる分のお金が当たったとしても、働きたいと思える職場を作るには
- 過剰な自主規制を引き起こした原因について
- 職場における女性の在り方とは
- 企業でAIを有効活用するには
- より良い賃金制度へ進むには
- 少子化のなか、なぜ先生は多忙なのか?
- 聴覚障がい者の交通問題~梅田駅がディズニーリゾートから学ぶこと~
- 高校生のネットいじめはなぜなくならないのか
- 子どもを孤食から解放するとともに地域を活性化させるにはどうすればよいか
- 大阪湾のプラスチックごみの原因と対策とは
- 外国人労働者が働きやすい環境を作るには
- コンビニの24時間営業は本当に必要なのか
- 起立性調節障害の生徒へのサポート環境をどのように整えていくべきか
- 学生アルバイトの労働環境
- イリオモテヤマネコを絶滅の危機から守るにはどうすればよいか
- 女性が辞めずにすむ会社づくりとは
- 日本の非正規労働者の待遇を改善するには
- 和泉葛城山のブナ林を守るために
- 犬猫の殺処分数を0にするために
- 航空管制官の勤務環境は整備されているのか
- 長時間労働を改善するには
- 日本の過疎地域対策とは
- 小学校から英語を教科化して行うことは必要なのか
- メディアリテラシー教育の在り方
- 通信制教育と教育課題
- ゆとりですが何か
- 日本の教員は働き過ぎ?
- 学習の質を高めるために
- 病気の子どもと兄弟の不安
- どのように日本語と向き合うべきか
- 学費が無償になる?
- 部活動に意味はあるのか
- 学習塾は本当に必要なのか
- 勉強をどうとらえるべきか
- 奨学金問題
- 小学生に英語は早いか
- 教師の長時間労働の原因と改善方法
- 日本の小学校教育に英語はいらない?
- 飢餓地域における食育
- 音楽教育のメリットとは?
- 子どもの手本
- 体罰問題の改善について
- 勉強がしたくなる講座
- 高齢者の体力向上には何をすべきか
- いじめの現状と解決策
- 待機児童~ゼロへの道~
- 体罰は×(バツ)!
- ケニアの初等教育の質を上げるにはこうすればよいか
- スリランカと日本の比較から生まれる最適な教育
- ブータン王国の教育から見る日本の教育
- 『千と千尋の神隠し』から見る思春期の子ども
- 日本の子どもたちを解放せよ
- どちらのワンピースを選びますか?~児童労働をなくすには~
- 広告に見られる人種差別を撤廃するには
- 海洋汚染を解決するには
- チャドの貧困の原因と解決策とは
- グローバリゼーションはアイデンティティーを消失させたのか?
- LGBTの人々が暮らしやすくするには?
- 宗教に対する一方的な嫌悪をなくすには?
- イギリスのEU 離脱から考えるグローバリゼーションの課題とは
- 本当に英語は必要なのか
- 自動車産業の現状から見える課題と解決策とは
- フェアトレードは本当にフェアなのか?
- グローバル人材を育成するには
- 外国人労働者の受け入れ現状と難点
- なぜ日本のファッション業界は海外に進出しないのか
- 中国における飢餓と経済格差の実情と解決案
- How to Reduce the Number of NEETs
- The Effects of the Japanese Women’s Diet
- The Decline of Face to Face Communication
- Gender Discrimination at Japanese Companies
- Junior High School Graduates and Poverty
- Art Education in Japan
- Overcoming Language Barriers
- Improving the Working Conditions of Technical Intern Trainees
- Immigrants and Their Families
- A Comfortable Life for Orphans in Japan
- Internet Dependence of Students
- Discrimination of Sexual Minorities
- Is Japanese Education Truly Good for Us?
- Closing the Digital Divide
- Improving Education in Hospitals
- Supporting the Lives of Poor Children in Japan
- English Education in Japan
- The Effects of Poverty on Child Education
- Motivation for Studying and Getting Good Grades
- Volunteering for Tokyo 2020?
2. 講座・労働(2講座)
3. 講座・環境(2講座)
4. 講座・教育(3講座)
5. 講座・グローバリゼーション(2講座)
6. TOEFL探究(1講座)
大阪府の事業「骨太の英語力育成」として1グループはTOEFLに対応した英語力の育成を主眼とした授業を行いました。この授業でも探究の手法を導入して、研究と英語での発表を行いました。