<特別プログラム>
国際文化科1年「国際理解」特別授業(1)『高校生の日常と国際的課題のつながり』
Special Lesson for the first-year International-course students (1)
2018年6月26日・28日
June 26 and 28, 2018
ヒューライツ大阪から松岡秀紀氏をゲスト講師にお迎えし、国際文化科1年「国際理解」特別授業(1) 「高校生の日常と国際的な課題のつながり 〜チョコレートと児童労働〜 」を実施しました。チョコレートと児童労働のつながりを例に、我々の日常と海外の生産現場がバリューチェーンを介してどのようにつながっているのか、そこでの問題に対してどのような取り組みがなされているのか、SDGsとはどう繋がるのかを学び、考えました。 Facilitated by a guest lecturer, Mr. Hideki Matsuoka from Hurights Osaka, 1st-year students had a workshop. They learned how chocolate sold in Japan is connected to the problem of child labor in Ghana and what are being done to tackle the problem. They also thought and shared their ideas on which SDGs this problem has connection with.
1年生対象 「国際理解」特別授業(1)
「高校生の日常と国際的な課題のつながり ~チョコレートと児童労働~」
■講 師:
松岡秀紀氏(一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター特任研究員)■実施日:
6月26日(6,7限)、28日(2,3限)■形 態:
国際文化科1年生全員(160名)対象に, 「国際理解」の授業で, クラス単位で各1時間■ねらい:
- 日本の高校生の日常生活が国際的な課題とつながっていることを知る
- 課題の解決のためにNGO・企業・国際的な枠組みによる取組があることを知る
■授業の流れ:
①この写真−海鳥の消化器から見つかった人工物−は何を意味しているのでしょう?
②今日のテーマは、「チェーン:つながり」です。
③チョコレートの材料は何でしょう?誰が作っているでしょう?食べるのは誰ですか?
そのつながり−バリューチェーン−で皆さんの日常とガーナの児童労働が繋がっています。
④チョコレート『ダース』の箱の裏には児童労働をなくすための取組の説明が書かれています。
NGO・企業・国際社会それぞれのセクターでの取組があります。
今回の話は前回の授業で習ったSDGs(持続可能な開発目標)のどの目標とどうつながるでしょう?
⑤グループで話したことを共有しました。
この後、振り返りのアンケートに答えました。
■生徒の受け止め(「振り返りアンケート」から)
<あなたが「勉強になった」「そうだったのか」と思ったのはどういう点でしたか>
- 多くの国際的な問題に対して、私たちは現在、解決の為にあまり行動できていないことが分かった。市民セクター・企業セクター・政府セクターがあり、それぞれで社会とのいろんな種類の関わり方があるのが分かった。そして直接ではなく企業を通して社会問題解決に努めることが出来るということを知った。
- 児童労働をしている子どもの数が日本の人口より多いことや、児童労働が人身売買と深く関わっていることにものすごく驚いた。
- 普段何気なく食べていたものがアフリカなどの子どもたちが働いて作られたものだということ
- 自分たちが当たり前のように行っている学校へ行けず、家計のために働かなければならない子どもたちがいること
- 私よりも小さな子どもたちが「働くのは当たり前」だという現実もあると講師の先生が話されたところ
- 私が『ダース』を買って食べてもアフリカの子どもたちが働いている現実は見えないこと。こちらが見ようとしないとつながりには気づけないと思った。
- 私は今まで児童労働について教科書で見て、どんなことができるのかなと考えたりはしても、結局世界の問題であって自分には遠いなと思っていました。でも今日の話を聞いて、身近なことから考えるのが世界へとつながっていくと知って勉強になった。
- 多くの企業がCSRのことをホームページに掲載していて、児童労働禁止などに理解があることを知った。普段よく利用する店もあって意外だった。
<あなたのこれからの生活に変化が起きるとしたらどんなことでしょうか>
- 私はNGOや発展途上国に興味があり、今日の話を聞いて改めてこのような仕事に就きたいと思った。
- 社会的な活動を積極的に行っている企業を就職先に選びたい。
- 社会問題に貢献できるようなボランティア(青年海外協力隊など)をする。現地を訪れて、自分の目で知る。
- 自分が企業に勤めるようになって、何か企画をするときに世界の問題にも貢献できるような企画を作る。
- 1つの物に何人もの人が関わっていることを頭の片隅に常に置き、いつも感謝したい。
- ごみを減らす。フェアトレード商品を積極的に買う。マイボトルを使う。
- 世界的な問題(貧困など)やニュースにより耳を傾け、食品や商品の裏側にはどのようなエピソードがあるのかに興味を持つ。
■取り組みを終えて
チョコレートや携帯電話といった身近な物がグローバルな課題とつながっていることを、座学ではなくグループワークで活動していくことで生徒が自ら気づくことができる授業としました。
生徒の感想からは、「環境問題」・「中東情勢の緊迫化と原油価格の変動」など、身近なことと国際的諸問題がつながっている例が他にもあることに気づけていることが読み取れました。その一方で、「今日の経験によって今後あなたの生活はどう変わりますか」という質問に対して、「ボランティアをする」・「フェアトレードの商品を買う」など、非現実的あるいは短絡的な意見が多くありました。
7月には、国際関係の研究者による講演を聞いてもらいました。この講演では、国際的な規範について合意形成し、NGO/市民が規範の順守を監視することによって実効性を持たせていくことが有効であることが示されました。
今後の授業の中では、グローバルな課題の解決のため地球市民として実際にどのように取り組むべきであるのかということを、「市民」「企業」「政府」のそれぞれのセクターの視点から考えることができるよう取り組んでいきたいと考えています。