活動記録

Report

<特別プログラム>
国際文化科1年「国際理解」特別授業(2)『多様な立場から社会課題を捉える』

Special Lesson for the first-year International-course students (2)

2018年10月23日・24日

October 23 & 24, 2018

国際文化科1年「国際理解」特別授業(2)

1年生科目「国際理解」の2回目の特別授業では、「多様な立場から社会課題を捉える」をテーマにしました。公害地域再生センターあおぞら財団の栗本知子氏と本校教員のコラボレーションにより、《ロールプレイののち実際の事例を紹介する》形の授業としました。 The theme of the second special lesson for the first-year International-course students was to understand the differences of standpoints of diverse stakeholders and to learn how to reach a consensus. After a roleplay in the first lesson, students learned how people tackled the air pollution problem in Nishi-Yodogawa, Osaka. The classes were designed and operated by Social Studies teachers of our school and Ms. Tomoko Kurimoto, researcher from the Aozora Foundation.

1年生対象 「国際理解」特別授業(2)
「多様な立場から社会課題を捉える ~203x年、あなたの町で公害が起きたら?~」

社会課題に対し、利害関係者がWin-Winの関係になるような解決策を考える-この学習に、大阪、西淀川公害訴訟の企業との和解金の一部を基金に設立された「公益財団法人公害地域再生センター:あおぞら財団」から栗本知子研究員を講師に迎え、ロールプレイを中心とした参加体験型学習を行なった。

生徒たちは、5人グループの中でそれぞれ異なる役割カードを渡される。市役所の担当係長・公害患者の親・工場の経営者・地元の医者・工場で働く住民である。与えたれたシナリオからスタートし、その後は自由に合意のための話し合いを進めていく。最後に西大阪での和解に至るまでの経緯と日本の公害対策法制の変遷を学習した。

■講 師:

栗本知子氏(公益財団法人 公害地域再生センター:あおぞら財団 研究員)

■実施日:

10月23日(5,6限)、24日(2,3限)

■形 態:

国際文化科1年生全員(160名)対象に, 「国際理解」の授業で, クラス単位で各1時間

■ねらい:

  • 国際問題が地元にも存在することを実例を通して知る。
  • 利害調整が必要な問題を解決することの難しさを知る。
  • 異なる立場にいる人をどのように想像し意識を向けるべきかについてロールプレイという体験を通じて学習する。
  • 地元の実践家との出会いを通して、自らの生き方について刺激を受ける。

■授業の流れ:

  • 前年度までは、「ロールプレイ+西淀川の事例紹介」を1コマで行っていたが、今年度は、2コマにわけて実施した。
  • 1コマ目は教員が担当した。生徒の様子を把握しロールプレイを円滑に進められるのは教員だと考えたからである。そして翌週、外部講師(栗本氏)に事例紹介をしていただいた。実際に問題に携わった方の言葉の方が教員の解説より説得力があると考えたからである。
  • 2時間目は、まず前時のロールプレイを振り返り、問題解決に何が重要だと思うかについてグループでディスカッションを行った。その後、西淀川の事例がどのようなプロセスで解決されたのかを具体的に紹介していただいた。
  • 2コマにわけたため、どちらもじっくりと取り組むことが出来、昨年より生徒の理解は深まったと考えている。

写真1

写真2

■生徒の受け止め(「振り返りアンケート」から)

  • 今回の授業で3つのことを学んだ。1つ、一方の意見の受け入れは全面的解決につながらない。2つ、妥協案は解決にならない。3つ、問題解決には新しい案を示す必要がある。
  • 問題解決とは、どちらにとっても将来が明るくなるものであって、どちらかが、あるいはどちらもが我慢をすることではない。これらのことがわかって面白い授業でした。
  • 互いの主張が食い違っていても、それを解決できる方策があるんだということを学んだ。20年かかったと聞いて本当に驚いた。あきらめてはいけないと思った。
  • いろいろな立場の人がいる中で全員が納得するのは難しいと思った。多角的な視点を持つということはお互いを理解しあわなければならないということがわかった。

■取り組みを終えて

  • 生徒が直後に書いた「ふりかえり」の文章からは、立場の違う関係者の意見調整の難しさ、そして、対話の大切さを感じていることがわかる。
  • 同じく「ふりかえり」の文章から、公害問題については習ったことはあるが、関係者の思いまで知ったのは初めてで、さらに学びたいという記述があった。一般的な知識と具体的な事例の往復の大切さと、この授業の意義が認められる。
  • アンケートの結果を見ると、本校のあげるSGHの目標のうち「社会貢献意識」・「国際課題への理解が進み課題解決のために多角的な検討ができる」・「協同探究力」のいずれの項目でも約90~95%の肯定的評価を得た。いずれも昨年より上昇している。「創造的提案力」の肯定率は、約85%と相対的に低いが、昨年より約5%の上昇、「はい(最も肯定的な評価)」については約10%上昇した。2コマに分けて実施したことが功を奏した。