活動記録

Report

<課題研究>
国際文化科2年 課題研究『探究』

Inquiry Learning of second-year International-course students

2019年4月~2020年2月

April, 2019〜February, 2020

国際文化科2年 課題研究『探究』

本校では2年生全員が課題研究に取り組みます。1年での種々のゲスト授業・研修・『探究基礎』を受けて各自が研究課題を決めます。国際文化科では、今年度はSDGsの17の目標に基づいた12の講座に分かれて研究を進めました。そして2月の校内学習発表会で全員が口頭発表を行いました。 All the second-year students of our school work on a one-year-long research. They decide their research topic based on the lectures, lessons, fieldworks and seminars they had in their first year. This year, the International-course students were devided into 12 groups based on 17 SDGs and did their research. At Senri Festa, our school's research meet, they presented thier research results.

本校の国際文化科2年生は、全員が課題研究に取り組みます。生徒は1年の学年末に、予定している研究テーマを提出しました。今年度は、そのテーマと最も関連するSDGを元に講座を編成しました。1年での学習との接続を強化し,また,生徒の希望をより活かすためです。

各2回の講座内発表会・学年全体の合同発表会・大学院生による個別論文指導を節目にして論文やプレゼンテーションを提出または発表し、教員や他の講座生徒からコメントをもらい、ステップアップさせていきました。

10月上旬には企業訪問研修の機会を設け、企業における実際の取組を研究に採り入れられるようにしました。研修後に追加の調査をお願いし、テレビ会議システムを使ってインタビューを行った生徒もいました。

また、例年行なっている探究中間合同発表会に合わせ、SSH事業との「融合」企画として第1回国際シンポジウムを10月中旬に開催しました。環境を共通テーマとし、国際文化科の「探究」・総合科学科の「科学探究」・来日中の連携校(台湾国立中科実験高級中学)の生徒が環境に関する研究の発表を、さらにフランスとカンボジアからの長期留学生が「母国での環境問題と若者世代の活動」を報告しました。

12月には、プレゼンテーションスライドのデザインについて、フォント・色・サイズの選択とスライドマスターを中心に情報担当の教員が実習講義を行いました。また、希望者を募り、SGH全国高校生フォーラムでの英語によるポスター発表に2名の生徒を派遣しました。

2月には全員が校内の学習成果発表会「千里フェスタ」で研究を口頭発表しました。その後、単独研究の場合4000字、共同研究の場合7000字の論文にまとめて提出しました。

<学習の様子>

・国際シンポジウム(10月)

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在籍中のカンボジア・フランスからの留学生と台湾の連携校の学生に、各国における環境問題と若者の行動をレポートしてもらいました。また文系の「探究」と理系の「科学探究」から環境に関する研究を発表しあいました。司会・発表・質疑応答は全て英語で行いました。

・探究中間発表会(10月)・千里フェスタSGH代表発表会(2月)

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10月と2月の代表発表に対しては民間企業でCSRを担当しておられる方と社会課題に取り組んでおられる大学の先生から各研究の意義を指摘し、また、さらに深めるための助言を話していただきました。

・大学院生による論文指導(10月・1月)

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あらかじめ送っておいた論文について大学院生からアドバイスを受けています。普段指導している教員とはまた違う角度から良い点や直すべき点を指摘されるこの機会を生徒たちはとても高く評価しています。

<生徒の振り返り>

最終の授業で生徒に書いてもらったアンケートから特徴的なものを紹介します。どのような学びがあったのかを生徒の言葉から感じていただけると思います。

Q1.どんな気づきがありましたか?

  • 貧困はアジアやアフリカ中南米の国々の問題だと思っていたので、驚きの連続だった。また想像以上に各地域で様々な取り組みが行われていることを知ることができた。私が通っていた小学校も去年から子供食堂を始めたときいたが、実際その数は年々増えており、日本の貧困問題は着実に解決の方向に向かっていると言えると思った。
  • どのような解決法を考えても、世界的に問題視されている課題はその解決方法を実施できない理由がたくさんあるということだ。自分が完璧だと思う解決策を思いついても、調べてみるとたいていの場合はすでにあって、それを実行できない問題点までネットには載っていた。
  • 家事の分担の偏りについて調べた。初めは人々の考え方に原因があると予想していたが本当の原因はそうではなく、時間を労働に費やしてしまって家事をできないのだということを知ることができた。そのため解決策として労働時間の短縮を導き出せた。
  • 物事を見る視野が大きく広がりました。例えば、日本の国内の現状だけ見て考えるのではなく、世界の色々な国々の現状も見て考えることで、新たな視点から考えることができました。また、賛成の立場だけで考えていましたが、反対派の意見も聞いて取り入れることで、あらゆることを吸収して考えることができました。
  • 私は中学生の時にレズビアンの友達とバイセクシュアルの友達がいて、周りで嫌な噂を立てられたりしていました。でも私はLGBTについてあまり知識がなくて、もっと知識をつけてこのようなことで辛い思いをしている人をなくしたいと思い、このテーマを選びました。LGBTについて調べていくうちに今まで知らなかったことや意外だったことが多かった。また、自分も知らず知らずのうちに偏見を持っていることにも気づきました。

Q2.どんな力が伸びましたか?どんな力をさらに伸ばしたいですか?

  • 実際に現地へ行って自分の目で見て学ぶこともできて力になりました。インターネットで調べるだけではなくて、自分で行動していくことが大切だと強く思ったので、これからは自分で積極的に学ぼう、知ろうとする力をもっとつけていきたいです。
  • 論文を書く力は確実に上がったと感じる。夏休みに大阪大学で行われた研修の際に論文を書いた時は全くレポートの書き方がわからなかったが、年末には大体の形式や書き方がわかっていたのでとても書きやすかった。さらに伸ばしたい力は、プレゼンの時に質問などで観客を巻き込みながらプレゼンできるように工夫していきたいと思う。
  • 解決のために必要なことを自ら考え新しい提案を考える力が伸びたと思います。また1つの内容に絞り深く探究することで自分の興味のある分野をとことん学ぶことができてよかったです。今後はパワーポイントやプレゼンテーションの力を伸ばしていきたいです。
  • ひとつの大きな問題に関連して小さな問題がたくさんあるということに気づいた。社会問題を解決するのはとても難しいとわかりました。しかしその中でも1番問題解決に向いているものを見極めて選ぶーそのような力が伸びたと思いました。
  • パソコンスキルと物事を疑って考える力です。ネットの情報が時にとても適当で、不確かであるということを初めて実体験しました。

Q3. 他の研究から刺激を受けましたか?

  • 同じ活動を紹介するにしても説明の仕方が違っていてさまざまな方法があることが分かったし知識も増えたのでかなり刺激を受けたと思う。
  • 自分と同じデータを使っているのに全く違う意見を述べている人を見て人によって捉え方がちがうことのおもしろさを実感した。
  • 他の人の研究ではたくさんのアンケートを企業に送ったり、実際に活動してしたりしているところがあり、本当にすごいと思ったし、たくさんの刺激を受けました。
  • 研究に個性が一つ一つあって面白かった。また、それぞれが頑張っていること(アンケートや訪問など)が違ってすごいなと思いました。
  • 他の人のプレゼンを見たときに、つい聞き入ってしまうような話し方やスライドがあって、自分の発表のときに参考にした。
  • こんなことに興味があったのかと知ることもできておもしろかった。

<資料>

次の資料を『研究報告書』に掲載しています。ご覧ください。

①年間指導計画
②打ち合わせ資料 指導上留意すべきこと -これまでの経験からー
③今年度使用した課題研究評価のためのルーブリック
④探究講座別研究タイトル一覧
⑤学年末代表発表要旨